2013年2月27日水曜日

片耳聾の現実 日本とオーストラリア

今回はメイクとか全然関係ないので、興味がない方はスルーしてください☆

昨日オーディオロジスト(聴覚訓練士)に行ってきました。今回の記事も長くなります。
私が片耳聾なのは前にも述べてますが、オーストラリアに来てから、片耳聾に対する態度が変わってきました。

日本での片耳難聴に対する治療は皆無でした。
つまり「片耳聞こえてるんだから治療は必要ない」というのが片耳聾に対する日本の医療界の態度なのです。←これ重要。
耳鼻科の先生も医療センターの先生もみんな「しょうがないよね。でもまだ片耳あるし。」というだけ。
あのね、一言いいですか?
「てめぇが自分で片耳聾になってみろや!このどあほ!」
↑冷静さに欠けるコメントww

まず事実として、片耳聾と全聾者は違います。片耳聾と健聴者も違います。

片耳聾は本当に中途半端。健聴者のふりしてるけど、健聴者とは違うし、聾の文化でもないから、全聾の人には健聴者扱いされるし。。。


まず音の方向がわからないとはどういうことか。
後ろとか聞こえないほうから話しかけられると本当に分からない。それを毎日感じる。遠くから名前をよばれてもきょろきょろする。
簡単に言ってしまえば片目で見たときの平面的な感じって不便だよね?それとおんなじ感じだよ。
そうやって説明しても、たぶん完全には理解されないと思います。

うるさい場所での会話が苦手。これも音の方向と似てるけど、片耳聾には音に立体感がないので、全部うるさく聞こえる。ステレオからモノラルにしたときっていうのが一番わかりやすいかな。どれも平面的に聞こえるので、うるさい場所での会話はぜんぶうるさくて、拾いたい音が聞こえにくい。

上記を合わせて会話には集中力が必要となる。疲れる。
会話にも疲れない会話っていうのがあって、それは対面で、気の知れた人と(相手の口調や動きの特徴が分かる)、静かな場所で、相手の顔と口元がきちんと見える状態。これはとっても話しやすい。
逆に相手の顔が見えずに、知らない人と、周囲がうるさい会話(うるさい場所での電話など)は非常に苦痛。

事実聞こえるし、生活に大きな支障はない。
でも健聴者には簡単に聞こえるものも、片耳聾には注意して聞かないと聞き落すものになり、集中力と注意力を必要とするものがたくさんあります。
私はもう長いこと片耳聾なので、ずいぶん慣れましたが、それでも会話がつらいと思うことはたまにあります。

聾の世界にも入れてもらえない片耳聾が健聴者の世界で生きていくにはこういう状況を何度も何度も強いられるわけです。もちろん周りの人が悪意があってそうしてるわけじゃない。だからよけいに辛くなるんですよね。

日本にいたときは聞きづらいとかあまり意識しなかった。たぶん、母語として日本語があるので、聞き取りづらい部分があっても、なんとなくわかってたんですよね。無意識にジェスチャーや表情から読み取るというか。。
でもオーストラリアに来てから、会話が「頑張ってするもの」に変わってきたんです。それはいくら英語が得意でも、オーストラリアの文化(ジェスチャーや表情などなど)で育っていないのと、口の動きを読み取るのが難しいから。
そこで初めて「あ、私は今まで無意識に相手の顔と動きを見て会話していたんだ!」と気づかされました。

そういうのをオーストラリアの聴覚訓練士の方が理解してくれてるんです。本人たちはほとんど健聴者ですから物理的には理解できなくても、そういう人たちの生活がどんなに大変なものかというのをきちんと理解してくれています。
「補聴器でグループの会話も得意になるといいね!」なんて言われちゃうと、涙がでちゃいます。

日本では耳鼻科の先生でもそれを理解してくれるひとが誰もいなかった。仕方のないことなんだと自分に課せられた障害とみなされない障害を受け入れるしかなかったんです。

日本では先ほど述べたように片耳聾には治療も社会的保護もありません。
それは聞こえてるだけまだまし。健聴者とほぼ同等という見方があるからです。

しかし、オーストラリアでは片耳聾も立派な障害。健聴者と同じ生活ができないのだから、助けが必要。ということで、補聴器やインプラントの発達や普及が日本とは比べ物になりません。障害者としては認められていないようですが、「片耳聾でも補聴器を」という社会の態度には驚きました。

中途半端に聞こえてて、聾にも健聴者にもなれない片耳聾の人たちはどちらのグループにも属せず、とても不便なのに障害者手帳ももらえず、国や社会からの保護もない。
さらには「自分が聞きたい時だけ聞こえてる」とか訳の分からない言いがかりをつけられたり。。。
完全に無音とかなら「ああ、無音なんてやだな」とか思えるんでしょうけど、「ちょっと聞こえて、ちょっと聞こえない」っていうのが一番わかりづらいんじゃないかと思います。
どれなら聞こえて、どれなら聞こえないのさ!ってなるんですけど、それは状況にもよるので、一概にくくれない。
だからこそ補聴器なんかでそれを改善したいと思うんですよね、きっと。

だから日本の医療も片耳聾に対して「片耳あるならいいじゃん」じゃなくて、「片耳は全聾ともちがうし、健聴者の社会で生きていくには結構大変だから、補聴器の手当てをしましょう」とかになってほしい。
いや、聾のほうがましとか言ってるんじゃないですよ。ただ中途半端なのがいちばん苦しいからなんとか助けが欲しい。ってだけです。本当にそれだけです。

日本が1日でも早く医療・福祉先進国の仲間入りをしますように!!!


6 件のコメント:

  1. こんにちは!
    メイク動画よりChewyさんの存在を知り、いつも楽しくブログ拝見しております♪
    私も一重なのですが、一重でここまでメイクで遊べるなんて素敵だなぁと感心しきりです。
    さっそくグリーンのアイシャドウを使って春を先取りしています。
    そして、耳のお話、とっても勉強になっています。
    知人に後天性で片耳聾になった方がいますが、Chewyさんと同様に「片耳聞こえるし大丈夫」と
    治療は必要ないと言われたそうです。
    日本ではこれが現状なので、オーストラリアでの片耳聾に対する良い考え方お話が聞けて嬉しいです。
    私は先天性で片耳聾の難聴持ち(補聴器着用)なので、音がクリアに聞こえるという経験はないのですが、
    聾でもない健聴でもない「中途半端に聞こえる」世界に住んでいる、という立場には痛いほど実感しています。
    目に見えない障害ってなかなか分かってもらえず、色々とやっかいなのでしょうね。
    骨伝導補聴器の導入で、Chewyさんの今後の生活がより良いものになることを祈っています。

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  2. ��takaさん
    コメントありがとうございます。
    メイクに関する記事も楽しんでいただけてうれしいです!春ですから一重でもパステル系の色も使いたいということで挑戦しました。
    耳の記事については正直だれも読んでいないんじゃないかと思っていたので、コメントを頂けてうれしかったです!
    私が診断を受けたのは15年も前のことですが、現在でも日本の医療は片耳聾に対しての理解が遅れているようですね。本当に悲しいです。一般人だけでなく、医療に携わる方がそういう態度ではなかなか改善しないですね。takaさんは片耳聾と難聴というのは、いい耳が聞こえにくいという事でしょうか?ちなみに生まれつきという事は聾学校などに行かれましたか?それとも聴者として育てられましたか?差支えなければ教えていただけたらと思います。
    聞こえには主観的な程度がありますから、本当に難しいのですが、難しいからこそ理解を得たいという気持ちが強いのかもしれませんね。
    さらに中途半端に聞こえる分「もっと鮮明に聞きたい!」という気持ちが強いのかとも思います。中途半端な世界に共感していただいて、本当にうれしいです!またBAHAなどについても機会があれば記事にしていくので、また読んでください!takaさんの心温まるコメントに感謝します。

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  3. 日本は人工内耳の話でしたらよく聞くのですが、BAHAは1度しか聞いたことがありませんでした。
    しかもBAHAは日本ではまだ保険適用外なのが辛いところですね。
    ��正規の値段で、オーダー式補聴器より5倍以上ってキツイ)
    メイクの記事はもちろんですが、BAHAの使用感レポートの記事も楽しみにしています!
    さて、ご質問をいただいたので回答します。
    >片耳聾と難聴というのは、いい耳が聞こえにくいという事でしょうか?
    その解釈で合っています。
    片耳が60 dB、もう片耳は聾で、聴力が残っている耳に補聴器着用という形です。
    贔屓にしている補聴器屋のオーナーが「片耳聾でも補聴器を」という考えを持っている方だったので、
    ダメ元で聾側の耳に補聴器装着を試みた時期もありました。
    しかし感音性故か、思った以上に片耳着用と両耳着用とで聞こえが変わらない(自分比で)のと、
    元来の偏頭痛がひどくなり、日常生活に支障が出たので今は片耳のみ補聴器着用です。
    >聾学校などに行かれましたか?それとも聴者として育てられましたか?
    聾学校に…という声もありましたが、普通の小学校に入学し、最終的には理系の大学を卒業しています。
    高校までは本当に周りの環境に恵まれて、聞こえのハンディを意識することは少なかったように思います。
    大学からは教壇と一番前の机の距離の遠さ、板書しない教授とにらめっこ、ディベートの溶け込めなさ、
    研究室の所属後は、女性の先輩の声が聞き取れないという理由で、色々と大変な目に遭いました。
    男性の声が聞き取れて、女性の声が聞き取れないという現状は誤解を招きやすく辛い日々でした。
    何とか卒業しましたが、しばらく精神を病んでしまいましたね。
    今はChewyさんと似たような生活(資格習得、事実婚等)を送っておりますのでご安心ください。
    もちろん日本です!パートナーの仕事次第で海外進出もあるかもしれませんが。
    自分の話ばかりで恐縮ですが、参考になれば幸いです。

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  4. ブログ読まさせていただきました。
    わたしも思うことが色々とあって、コメントにかいていいのかどうか、失礼に当たらないか不安ですが、少しだけでもお力になれたらと思って書きます。
    私の友達は、補聴器をつけています。
    全く聞こえないわけではないけれど、補聴器をつけないと聞こえない、と。
    私は両耳聞こえるので、それまで考えたこともなく、友達と出会って初めて深く考えました。
    完全には理解できないけど、寄り添って考えたり悩みを聞いたり理解しようとすることはできます。
    でも、一部の人にはやはり「聞きたいときだけ聞いている」と言われたようです。
    そんなことはないのに。
    私はそんなこと思いません。
    私は訳あって、中学校時代は不登校でした。
    いまでも、人と話したり大勢ひとがいるところはとても苦手です。
    自動車学校に通っていますが、もう辞めたいくらいしんどくて憂鬱です。
    私の経験も心から理解してくれる人って、やっぱり経験者だけかなって思ってしまいます。
    でも寄り添ってくれる人はいます。
    生きづらいですね。
    わたしも思います。
    なんか私のことも書いてしまいました。
    傷つけてしまっていたらすみません。
    でも少しでも力になりたいです。
    長々とすみませんでした。

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  5. ゆいさん、こんにちは
    私も一重で、youtubeのターコイズメイクでゆいさんのことを知り、それ以来メイクに関する動画を見て勉強させてもらっています。一重のメイクテクって、「一重でもほら、こんなに!」とかって言いつつも全然キレイじゃないやつが多いですが、ゆいさんはキレイorかわいく仕上がっていて、何よりメイクしているのが楽しいんだなというのが伝わってきます。生き方の前向きさとかが。

    私自身は正直そこまでメイクにこだわりがあるわけではなく、毎日のことなので、手早く・社会人らしい節度をもったメイクができればいいという考えです。。でも自分をよく知って自分らしいメイクができれば一番輝いて見えるのかなーとたまに時間があるときは研究しております(笑
    今はmacのface & bodyファンデが気になっています!

    そして最近ブログを見させていただき、補聴器に関する記事を見て耳のお話を知りました。私の母は網膜色素変性という目の病気で、彼女の場合、40代くらいから視力が悪くなってきて(色や視界が狭いなども)一般の方からすると全くの健常者に見えるので(花柄が好きとかもあいまって若く見える)あまり理解されないもどかしさがよく分かります。
    よく転んだり頭を看板にぶつけたり、人混みで歩くのが遅かったり、どうです?って見せられるパンフレットなども読めないので「??」となったり。見た目では相手は状況がわからないので、向こうはむっとするようですが、そのたびに病気の説明をするわけでもないので、その都度悲しいおもいをしていると思います。

    長くなってすみません!
    伝えたかったのは、私は思春期の頃から、母が離婚したり、私たち兄弟を育てるのに苦労したり、大人になってから学校に通い、あんま鍼灸の免許をとってお店を開店したりと、困難に直面する日々にも負けずに勉強を続け、自分の道を進んだのをそばで見ていてすごく勇気をもらったということです。

    困難な状況にあっても(それが困難かどうかは自分の定義次第だと思いますが)歩み続ける強さや、他人を慮る優しさを学んだと思います。(なぜなら苦しい状況なのかどうかは当人でないと分からないから)

    私自身はそれを実践できるほどできた人間ではないので日々修行中(T_T)ですが
    ゆいさんの活動からもたくさん元気をもらっています。たくさん更新したり記録したりするの大変そうですが、これからも楽しみにしています★

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    1. なりよさん こんにちは。コメントありがとうございます。
      実は私も雑誌とかにある一重メイクが気に入らなくてメイクチャンネルを立ち上げたものでして・・・(*´ω`*) 目を切れ長に見せる方法とか「一重はもとから切れ長じゃい!」とケチをつけて「目を大きく」とか「可愛く」ってのは無理なんかなー?と思って試行錯誤の日々(現在進行中)を動画にしたという感じです。
      自分に似合った自分らしいメイク、まさにこれこそが一番輝くときだと思います!あ、あとは笑顔!!w 笑顔は最高のアクセサリーだと思います。

      お母様の目は今も進行中なのですか?だんだん目が見えなくなるというのは日々恐怖と闘うということですよね。それでも鍼灸の免許や開業なんて。。。お母様、すごいです。身近にとても素敵なロールモデルがいるのですね、素晴らしいことだと思います。
      辛い辛いといっても何も始まらないのは事実ですが、でも一人でも多くの人にいろんな人がいるんだって知ってもらいたいですよね。おっしゃる通り、人はどんな悩みやハンデを抱えてるかというのは外見では分かりにくい(私やお母様の場合ですよね)ですから。それを受け入れてケアしてあげるのが優しさなんでしょうね。私もそれができる立派な人間になりたいです!

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コメントありがとうございます(✿◕ ‿ ◕✿)